(続)「For Global Meiji!教職員との本音トーク」 第2回 小室輝久先生 明治大学法学部専任准教授、国際教育センター長

(続)「For Global Meiji! 教職員との本音トーク

前回は小室先生の「お人柄」についてお聞きしました。

 

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今回は、明治大学の国際化小室先生の考える留学についてお聞きします!!

 

 

高松:それでは二つ目に、明治大学の国際化進捗状況についてお伺いします。

国際化の流れの中で、明治大学の強みはどういったところでしょうか。

 

小室先生明治大学の強みは、まず「数の多さ」です。

300大学以上の海外協定校と数多くの留学プログラムがあり、海外に留学する学生が年に2000人近くいて、また、外国人留学生を年に2000人近く受け入れています。

これだけ多くの学生が海外留学を経験すれば、留学をしていない学生にも大きな影響を与えることができますし、外国人留学生の数が多ければ在校生との交流の機会も多くなります。

つまり、海外留学経験者や外国人留学生との接触の機会の多さ明治大学の強みです。

 

高:なるほど、明治大学は数が多いのが強みなんですね。

現在取り組んでいる国際化活動はどうでしょうか。

 

小:成績が良く語学力にも長けている学生だけが留学に行く、という時代は昔のことです。交換留学ではTOEFLスコアが60点台から70点台で行ける協定校を増やしているところです。

以前は、例えばオレゴン大学など人気のある協定校の1名枠に十数名の学生が応募したりしていましたが、今では、いろいろな留学先があるため、学生は自分の興味と関心とレベルにあった留学先を選択できるようになっています。

2017年秋学期には60人ほどを協定留学(長期留学)に送り出しましたが、2018年秋学期には90人が協定留学に出発する予定です。このほかに、2018年夏にはカリフォルニア大学のサマーセッション(夏学期(6月~8月)プログラム)に約50名が参加する予定です。中期・長期の海外留学をする学生が増えてきています。

ボリュームゾーンといわれる「語学力がまあまあの学生」向けの留学先を増やす一方で、学業成績と語学力が本当にトップクラスの学生が、本当のトップクラスの大学に留学できるプログラムも用意しています。

例えば、スタンフォード大学ペンシルベニア大学ケンブリッジ大学ペンブルックカレッジと協定を結んで、サマーセッションを中心に、現地の学生と同じハイレベルな授業を受けられるプログラムを用意しています。これらのプログラムに参加するためには、GPAが(プログラムにより)3.0または3.3以上、TOEFLスコアが100点(IELTSでは7.0または7.5)以上必要ですが、いまの時点で、2018年夏のスタンフォード大学のサマーセッションに2名、ペンシルベニア大学のサマーセッションに1名が参加する予定です。

 

高:留学先が増えているんですね。

ところで、留学に興味のある学生は、お金の面でも不安を抱えていると思います。どういったサポートをされていますか?

 

小:明治大学には外国に留学する学生向けの給付奨学金がいろいろあります。「海外トップユニバーシティ留学奨励助成金S」は、スタンフォード大学ペンシルベニア大学ハーバード大学ケンブリッジ大学ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの特定のプログラムに参加する学生を対象に、1学期あたり最大で300万円の奨学金を給付します。サマーセッションに参加するのであれば、授業料、寮費、渡航費をほぼ全てカバーすることができます。また、カリフォルニア大学サマーセッションに参加する学生を対象とする、上限100万円の奨学金である「海外トップユニバーシティ留学奨励助成金A」、特定のダブルディグリープログラム・デュアルディグリープログラム(※明治大学の学士号と海外大学の学士号、または明治大学の学士号と海外大学の修士号を並行して取得するプログラム)に参加する学生を対象とする奨学金もあります。

交換留学で留学する学生は、海外大学の授業料が免除されますが、それに加えて、「明治大学外国留学奨励助成金」(1学年間20万円、1学期間10万円など)を申請することができます。

また、夏休みや春休みに実施する短期プログラムについても、国際教育センター主催の全学の学生を対象とするプログラムに関しては、2018年度から、プログラム費用に応じて4~7万円の助成金(国際化サポート留学奨励金)を申請することができるようになりました。各学部が主催する短期プログラムにも、各学部独自の助成金やJASSO(日本学生支援機構)の奨学金があることが多いです。まずは、「海外留学プログラム紹介リーフレット」(http://www.meiji.ac.jp/cip/6t5h7p000001exav-att/6t5h7p00000qn2ls.pdf)を参照してください。

 

高:お金の面でのサポートは嬉しいですね。

では、留学以外にも国際化を進めていく活動などはありますか?

 

小:ゼミの研修で海外に行くことも、これからの大学の教育の一つとして重要だろうと考えています。これまでは山中湖のセミナーハウスなどで行っていたゼミ合宿も、たとえば韓国や中国や台湾などに行くなどして、海外に行った経験のない学生が、最初の一歩を踏み出すきっかけをもってほしいと考えています。

わたくしのゼミでも、新年度からゼミ合宿を海外で行うことをシラバスに明記しました。予算は10万円以内で、行き先は学生どうしで相談して決めてもらうことにしていますが、さてどこに行くことになるでしょう。

国際日本学部の小林明先生のゼミは、去年、10万円の予算でインドまで行ったそうです。レベルの高いバックパッカーのようで、わたくしにはついてゆけるかどうかちょっと不安ですが。。。

海外経験の0と1は決定的に違います。クラスメートと一緒に海外に行くことも、一つの手だと思います。

 

高:留学でなくても海外へ出てみる、というのが大事なんですね。

では、さらなる明治大学の国際化に必要なものはなんでしょうか。

 

小:いまの学生に一番必要なものは「語学力」です。

お金は計画的に準備することができますし、GPAもしっかりと授業に出ていれば維持できるでしょう。

しかし、語学力に関しては、勉強のやり方がわからない、どう伸ばしたらいいのかわからない、という学生が多いです。

まだまだ大学のサポートは十分ではありませんが、たとえば、2018年の夏休みから、フィリピン・マニラのエンデラン大学と提携して「英語発話力向上プログラム」(3週間・6週間)を新たに実施します。

スピーキングのレベルアップを目指したプログラムを開発し、去年の夏休みと今年の春休みのモニタープログラムには約40名の学生に参加してもらいました。

わたくしも去年の夏に現地で授業を2週間受講してみました。朝の8時から夕方の5時まで1日8時間の授業、さらに宿題をそのあと3時間、、、。けっこうきつかったです。笑

ただこのおかげで多くの学生たちはスピーキングのレベルの向上がみられ、英語で話すことに抵抗がなくなったようです。

会話やディスカッションは相手がいないとできませんし、「慣れ」の問題でもありますが、このプログラムでは1日8時間の授業のうち約半分が1対1のレッスンですので、いやおうなしに話さざるをえなくなります。

フィリピンに行って英語を学ぶこと自体が海外留学でもありますが、そこでスピーキングのスキルを伸ばすことで、その先のサマーセッション留学や協定留学につなげやすくなると考えています。

 

高:確かにそれだけしっかりとやれば、短期でも英語は身につくと思います。

 

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高:では最後に、留学、国際化についてお聞きしたいと思います。

小室先生の考える留学、国際交流の意義はどのようなものでしょうか。

 

 

小:なんでしょう、一言でいうのは難しいですが、みなさんに留学してもらいたいと思う大きな理由は、これからの社会と関係しています。

みなさんの世代はどういう仕事をするにしても、日本人だけを相手に日本語だけで生活をすることはできなくなってきます。つまり、どうしても多文化、異文化と共生していかなければなりません。

それをうまく乗り越えるためには、自分の暮らしている社会とは違う社会についても学び、違う人々と若いうちに知り合うこと必要があります。それを経験できることが留学の大きな意義だと思います。

 

高:異文化と共生することを身をもって学ぶことができる、これは外国で生活しなければなかなかできない経験ですよね。

ただ、中には留学に対して否定的な学生もいると思います。そのような学生にはどのようなアプローチを行われているのでしょうか。

 

小:留学をしなくてもいいと考える学生は実際に多いですが、正直それはそれで仕方がないです。

留学では違う国に行って、違う社会に触れて、違う人々と触れ合うことができます。そこでは当然自分と相手は違うということがわかる。「違うものを知る」ことによって自分の考え方がまた新しくなることもあります。

この「違うものを知る」ことに価値を見出してほしい。

もしそこに価値を見出せないのなら、それ以上はどうしようもないと考えています。

実際にわたくしは、父母会でみなさんの親御さんにお話をするときにも、お子さんには留学を勧めないでくださいと言います。

なぜかというと、親に勧められて行く留学が成功するというのはあまりないからです。

「留学に行きたい」という気持ちが沸き上がってこないと、留学の経験も生きない。「留学に行きたい」、「ほかの国を見てみたい」、「何か違うところで違うことをしたい」、「違うものを知りたい」という感情は、自分の気持ちの中でしか湧きあがらない。

だから、親や人に言われたから行く、というものではないと考えます。そのため、みなさんの気持ちに積極的にアプローチするということはしません。

ただ、留学をした友だちを見て、「自分も留学に挑戦してみようかな」と思うことはある。だから留学を経験したみなさんは、周りの友だちに留学のきっかけを与えることができると思います。

わたくしは学生には、「留学に行くといいことがあるかもしれないよ」という言い方をしています。

 

高:確かにそうだと思います。人から言われて留学に行くのは違いますよね。

「いいこと」とは具体的にどのようなことでしょうか。

 

小:「いいこと」は、例えば料理がおいしかったとか、一見すると小さなことです。わたくしが初めてイギリスに行った時も、イギリスは食べ物がおいしくない、というイメージを持っていました。その先入観があったからかもしれませんが、イギリスで食べた屋台のフィッシュアンドチップスは、とてもおいしかった。いい意味で想像と現実のギャップがありました。

その反対に、ドイツの人は真面目でいつでも時間を守る、というイメージがありましたが、実際に住んでみるとバスの時刻表は間違っているし、本屋に本を注文しても一向に来ないし、お勘定もちょくちょく間違える。案外、正確でもきちきちしているわけでもないです。

わたくしたちが日本にいて持っている、ほかの国の知識やイメージは、不正確であったり、場合によっては偏見でしかなかったりします。実際に行って経験してみると、限られた経験のなかではあるものの、今まで自分が持っていたイメージや考えは違っている、不正確だったということがわかります。

そのようにして、気軽に行ってみて、現地の人と気軽に話してみる。何か特別なことをする必要はないです。留学では、普通のことをしているだけで様々な経験と気づきが得られます。それがすべて学生の皆さんにとって「いいこと」になると思います。

 

高;日本で得られる外国の知識はあくまで想像でしかなく、外国に行って生活してみないと本当の姿は見えてこないのですね。わたくし自身も留学いいって想像とのギャップに驚いたことがあります。

 

さて、いろいろとお話を伺ったのですが、そろそろお時間となってしまいました。

最後に留学を考える学生にコメントを頂けますか。

 

 

小:留学に行こうかどうか迷っている学生には、「失敗を恐れず挑戦してみたら」と伝えます。

初めて外国で生活するとなると不安があると思います。また、うまくいかないかもしれないと想像してしまうこともあるでしょう。

しかし、失敗してもかまわないので、崖から海に飛び込む気持ちで挑戦してほしい。大学が用意している留学プログラムでは、飛び込み方は教えます。我々は崖の下の状態もチェックしています。すり傷、切り傷くらいはするかもしれませんが、怪我をしても手当てできるように救急箱と救命具も準備してあります。ですからみなさんが何か失敗しても再起不能になるようなことはないです。

たとえ失敗したとしても、みなさんはその挑戦を糧に次の挑戦につなげていくことができます。ですので、みなさんは失敗を恐れずに挑戦してほしいと思います。

 

高:なるほど、大学の留学プログラムは失敗もカバーできるように設計されているのですね。失敗することは怖いですが、そういったサポート体制があれば恐れずに留学に挑戦できそうです。

いろいろなお話が聞けて楽しかったです!

本日は貴重なお話を頂きありがとうございました。

 

 

 

ここまで読んでいただいた皆様、誠にありがとうございました。

この記事を読んで、留学にチャレンジしたいと思ってもらえたら嬉しいです!

次回はどんな教員・職員さんに突撃するでしょうか?!乞うご期待! !

 

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インタビュアー:高松

編集:鎌倉、高取

 

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明治大学生に留学の可能性を感じてもらうという理念のもとイングリッシュカフェの開催や留学フェスタへの協力といった留学支援の活動を行っている団体です。