「For Global Meiji! 教職員との本音トーク」 第1回 横川綾子 明治大学国際連携機構特任准教授
「For Global Meiji! 教職員との本音トーク」
本日から始まるこの連載。
「明治大学国際化の活動を根掘り葉掘り聞き出そう!」
をテーマに、個性豊かな明大教職員の方に本音トークを迫ります!
学生が知りたい裏話が聞けるかも!?
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第1回のゲストは、
「横川大先生」こと横川綾子先生に来ていただきました!
鎌倉:こんにちは。じゃんじゃん行くので、本日はよろしくお願いします。
横川先生:学生発信でこういった企画が立ち上がるのは頼もしいですね。さすが明治の学生さんです。よろしくお願いします。
鎌:今回のインタビュー内容は「横川先生のお人柄に迫る」・「明治大学の国際化」・「留学とは」の三本柱で進めさせていただきます。
まずは、「横川先生のお人柄」ですね。
横川先生は上智大学法学部国際法学科を卒業されていますが、どういった経緯で進学したのでしょうか。
横:当時から「国際化」というのは世間で言われていました。中学・高校を超ドメスティックな環境で過ごしたので、大学はちょっと違ったインターナショナルなところに行きたいと思い、上智大学を志望しました。女子校に通っていたんですけど、その学校の子たちはよく勉強するし、当然のように名のある大学に進学するんですね。
鎌:いわゆる日本のThe top of 大学へ進学する生徒が多かったんですね。
横:今もそうですけど、私は反体制派みたいなところがありまして。大方の人が選ぶことは死んでも選びたくないという、あまのじゃく体質なのです。それで当時、周りの子が志望しない大学に行きたいと思っていました。また、大学で勉強するなら中高でやってきた数学・英語・歴史などではなく、新しいことを学びたいと思ったんです。
そんな時に読んだのが、いまの皇太子妃雅子さま、旧姓小和田雅子さんが外交官だったときの手記が載っている雑誌。今でいう「グローバル人材になるには」みたいな内容でした。それを読んだとき、「国際派」という言葉にリアルなあこがれを持ちましたね。小和田さんは女性外交官として華々しく活躍されており、それが高3で進路を決めかねていた自分に刺さったわけです。外交官になるには国家試験があるけど、法学部に行けば外交官のような公務員の道も目指せるし、法律だけでなく国際政治も学べる。自分のやりたいことがオールインワンで叶えられそうだな、と思ったのが、上智大学法学部国際関係法学科だったんですね。
鎌:ありがとうございます。今でも「反体制派」とは言いませんが、「同調して行動」というタイプの教員ではないですよね。とても好きです、僕は。(笑)
晴れて上智大学に合格した後ですが、大学に入ったあとの4年間はどう過ごされましたか。
横:大学生活は地味でしたよ。皆さんがこうやってMuBOを作って活躍されているのが羨ましいくらいでして。(笑)
鎌:そうなんですか??行動的な姿を想像していましたが。
横:上智大学は当時も華やかで、帰国子女が多かったです。私のクラスにも帰国子女がいて、当然のように英語ができるんですね。私は「受験英語叩き上げ組」ですから彼らには一生敵わない、そういうコンプレックスを抱えていました。学業はそこそこ頑張ったけれど、これと言ったものは達成せずに卒業したかな。
鎌:そうだったんですね。意外な一面を発見しました。
明治大学オープンキャパスでの講演
鎌:以前、留学経験はないとお聞きしましたが、大学4年間で海外への渡航経験などはありましたか?
横:全く海外経験がなかったわけではないんです。大学1年生の時にアメリカに3週間ホームステイに行きました。2年生の時には、自分でエアメールを送って手続きし、大学の寮に入りながら付属の語学学校に1ヶ月通い、後の1カ月はアメリカ国内を一人で周遊したりしました。
海外には行っていたものの、単位を伴うような長期留学をしなかったのは私なりの理由がありました。英語だけやりたいなら国内で学べるし、交換留学プログラムにも惹かれるものはあまりなく、留学する必然性がないと思っていたのです。
今だと留学といっても、短期・長期・インターンシップ・海外ボランティアなど様々です。でも私が大学生だった時代は、留学と言えば「休学して自分で業者を手配して行く」、あるいは「大学の交換留学」という選択肢しかなかった。留学に対するハードルは、今よりも明らかに高かったですね。
そう考えたとき、国内で勉強できない学問を修めるために海外に行くのはありだと思いました。でも「英語を上達させたい」とか「海外で生活してみたい」といった、ふわっとした目的だったら時間とお金を費やす必要はないと考えていました。でも後々、これは間違いだったと気付いたんですけどね。今思うと、長期留学は、学生時代にやっておけばよかったと思うことの1つかな。
鎌:なるほど。やはり今とは留学の捉え方や留学プログラムは相当違ったようですね。当時は学問を修めるために留学するなら意味はあるが、英語のためだけなら必要ないと思われていましたが、なぜそれが失敗だったと思うのでしょうか。
横:英語を教える仕事を始めてから、英語圏の生活や文化に対する理解、ネイティブスピーカーとの触れ合いなしに、言語としての英語だけを抜き出して学ぶのには限界があると感じました。そりゃ本で勉強すれば英語の知識は得られるけど、そういうスキルはしょせん机上のもの。英語を使う人の状況や気持ちといったリアリティが伴っていない。感情が動く体験と習得したスキルとが結びついていない。バーチャルな想像ではなく、リアルな体験に結びついた学習が本来あるべき姿だと思います。
でも当時は、英語だけなら国内で学べるじゃない、と安易に思ってしまった。英語力だけ考えても、留学に行かないよりは行った方が絶対に得るものは大きいし、今の学生さんにはぜひその経験をしてほしいと思っています。
鎌:現在はオンラインレッスンや英会話カフェなどがありますが、やはり現地での「リアルな英語に触れる」というのは、語学以外にも多くの収穫はありますよね。当時の状況でも女子学生が海外渡航を積極的にしているというのはなかなか行動力がありますね。さすが横川大先生です。
続いてですが、横川先生の就職活動についてお聞きしたいと思います。どのような経緯で、グローバル人材育成という分野で教員を務めていらっしゃるのですか。
横:この仕事に就いているのが不思議なくらい、学生の時は教員という職業に全く興味がなかった。むしろ先生は嫌いな人種でしたので(笑)、大学教員になるなんてことは少しも考えていなくて。人と関わることは好きだったので、接客を伴う仕事はしていました。英語とはほぼ無縁の仕事でしたけど。英語はずっと好きで、勉強もなんとなく続けていましたが、それで食べていきたいなんて本当に思っていなかった。20代最後の年までは。
29歳で目覚めました。身体を使う仕事をしていたけど、長くは続けられないと思い知りました。女性だと、結婚や出産、育児や夫の転勤だとかでライフスタイルが変わりやすい。でも、手に職があれば何とかやっていけるんじゃないかなと。
20代の頃、ワインのソムリエになろうと思ったこともあるんですよ(笑)。実は父親が生前にお店を経営していたこともあり、自分にもそういう才能があるかもしれない、将来私もお店を持ちたいと考えていました。そういう模索の時期は、興味のおもむくままどんどん突き進んでいた。
でもそうすると、知らない間に無理をする。いきなり倒れたりしたら周りに迷惑がかかるし、積み上げてきた信頼やキャリアを失ってしまうかもしれない。「無理をしてまで働かない」というのはそのときに得た教訓です。それで、いわゆるホワイトカラーの仕事に就こうと思いました。親には大学まで出してもらいましたし、長く続けられるキャリアを築こうと。
じゃあ「知的労働」ってなんだろう。資格があれば食べていけると思って始めた司法書士の勉強も中途半端にしちゃったし、今からでも出来る仕事ってなんだろうって。そこで、英語だったら嫌いじゃないし、頑張れば様になるかなぁと考えたわけです。英語の先生は安定した需要もありますしね。ライフスタイルが変わっても、英語を教える仕事なら一生働き続けられるかもと。
ということに気づいたのが29歳のとき。遅いでしょ(笑)。だから学生さんには28~9歳までふらふらしているのは普通だよ、といつも言っています。最初は自分のパッションや興味で突き進んじゃうこともあるけど、それに心や体がついて行かないときもある。憧れを持って就いた仕事も、実際は想像と違って日々辛いなんてこともある。そういう方向変換って20代まではどんどんやって良いと私は思っています。
鎌:今の横川先生があるのもいろんなことを経験してきてのことなのですね。自分も30歳までやりたいことをやって突き進んでいこうと思います(笑)。こういった経験の中で、今の「英語教師」という天職に就かれたのですね。
非常にパワフルでいろいろな経験をされている横川先生です。
横川先生のことをご存じなかった人もその素顔に迫れたのではないでしょうか。
次回は、横川先生に明治大学の国際化・留学について伺います、お楽しみに!
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インタビュアー:鎌倉
編集:中山・間・高取
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全明治大学生に留学の可能性を感じてもらうという理念のもとEnglish cafeの開催や留学フェスタへの協力といった留学支援の活動を行っている団体です。