(続)「For Global Meiji!教職員との本音トーク」 第2回 小室輝久先生 明治大学法学部専任准教授、国際教育センター長

(続)「For Global Meiji! 教職員との本音トーク

前回は小室先生の「お人柄」についてお聞きしました。

 

↓前回の記事はこちらへ↓

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今回は、明治大学の国際化小室先生の考える留学についてお聞きします!!

 

 

高松:それでは二つ目に、明治大学の国際化進捗状況についてお伺いします。

国際化の流れの中で、明治大学の強みはどういったところでしょうか。

 

小室先生明治大学の強みは、まず「数の多さ」です。

300大学以上の海外協定校と数多くの留学プログラムがあり、海外に留学する学生が年に2000人近くいて、また、外国人留学生を年に2000人近く受け入れています。

これだけ多くの学生が海外留学を経験すれば、留学をしていない学生にも大きな影響を与えることができますし、外国人留学生の数が多ければ在校生との交流の機会も多くなります。

つまり、海外留学経験者や外国人留学生との接触の機会の多さ明治大学の強みです。

 

高:なるほど、明治大学は数が多いのが強みなんですね。

現在取り組んでいる国際化活動はどうでしょうか。

 

小:成績が良く語学力にも長けている学生だけが留学に行く、という時代は昔のことです。交換留学ではTOEFLスコアが60点台から70点台で行ける協定校を増やしているところです。

以前は、例えばオレゴン大学など人気のある協定校の1名枠に十数名の学生が応募したりしていましたが、今では、いろいろな留学先があるため、学生は自分の興味と関心とレベルにあった留学先を選択できるようになっています。

2017年秋学期には60人ほどを協定留学(長期留学)に送り出しましたが、2018年秋学期には90人が協定留学に出発する予定です。このほかに、2018年夏にはカリフォルニア大学のサマーセッション(夏学期(6月~8月)プログラム)に約50名が参加する予定です。中期・長期の海外留学をする学生が増えてきています。

ボリュームゾーンといわれる「語学力がまあまあの学生」向けの留学先を増やす一方で、学業成績と語学力が本当にトップクラスの学生が、本当のトップクラスの大学に留学できるプログラムも用意しています。

例えば、スタンフォード大学ペンシルベニア大学ケンブリッジ大学ペンブルックカレッジと協定を結んで、サマーセッションを中心に、現地の学生と同じハイレベルな授業を受けられるプログラムを用意しています。これらのプログラムに参加するためには、GPAが(プログラムにより)3.0または3.3以上、TOEFLスコアが100点(IELTSでは7.0または7.5)以上必要ですが、いまの時点で、2018年夏のスタンフォード大学のサマーセッションに2名、ペンシルベニア大学のサマーセッションに1名が参加する予定です。

 

高:留学先が増えているんですね。

ところで、留学に興味のある学生は、お金の面でも不安を抱えていると思います。どういったサポートをされていますか?

 

小:明治大学には外国に留学する学生向けの給付奨学金がいろいろあります。「海外トップユニバーシティ留学奨励助成金S」は、スタンフォード大学ペンシルベニア大学ハーバード大学ケンブリッジ大学ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの特定のプログラムに参加する学生を対象に、1学期あたり最大で300万円の奨学金を給付します。サマーセッションに参加するのであれば、授業料、寮費、渡航費をほぼ全てカバーすることができます。また、カリフォルニア大学サマーセッションに参加する学生を対象とする、上限100万円の奨学金である「海外トップユニバーシティ留学奨励助成金A」、特定のダブルディグリープログラム・デュアルディグリープログラム(※明治大学の学士号と海外大学の学士号、または明治大学の学士号と海外大学の修士号を並行して取得するプログラム)に参加する学生を対象とする奨学金もあります。

交換留学で留学する学生は、海外大学の授業料が免除されますが、それに加えて、「明治大学外国留学奨励助成金」(1学年間20万円、1学期間10万円など)を申請することができます。

また、夏休みや春休みに実施する短期プログラムについても、国際教育センター主催の全学の学生を対象とするプログラムに関しては、2018年度から、プログラム費用に応じて4~7万円の助成金(国際化サポート留学奨励金)を申請することができるようになりました。各学部が主催する短期プログラムにも、各学部独自の助成金やJASSO(日本学生支援機構)の奨学金があることが多いです。まずは、「海外留学プログラム紹介リーフレット」(http://www.meiji.ac.jp/cip/6t5h7p000001exav-att/6t5h7p00000qn2ls.pdf)を参照してください。

 

高:お金の面でのサポートは嬉しいですね。

では、留学以外にも国際化を進めていく活動などはありますか?

 

小:ゼミの研修で海外に行くことも、これからの大学の教育の一つとして重要だろうと考えています。これまでは山中湖のセミナーハウスなどで行っていたゼミ合宿も、たとえば韓国や中国や台湾などに行くなどして、海外に行った経験のない学生が、最初の一歩を踏み出すきっかけをもってほしいと考えています。

わたくしのゼミでも、新年度からゼミ合宿を海外で行うことをシラバスに明記しました。予算は10万円以内で、行き先は学生どうしで相談して決めてもらうことにしていますが、さてどこに行くことになるでしょう。

国際日本学部の小林明先生のゼミは、去年、10万円の予算でインドまで行ったそうです。レベルの高いバックパッカーのようで、わたくしにはついてゆけるかどうかちょっと不安ですが。。。

海外経験の0と1は決定的に違います。クラスメートと一緒に海外に行くことも、一つの手だと思います。

 

高:留学でなくても海外へ出てみる、というのが大事なんですね。

では、さらなる明治大学の国際化に必要なものはなんでしょうか。

 

小:いまの学生に一番必要なものは「語学力」です。

お金は計画的に準備することができますし、GPAもしっかりと授業に出ていれば維持できるでしょう。

しかし、語学力に関しては、勉強のやり方がわからない、どう伸ばしたらいいのかわからない、という学生が多いです。

まだまだ大学のサポートは十分ではありませんが、たとえば、2018年の夏休みから、フィリピン・マニラのエンデラン大学と提携して「英語発話力向上プログラム」(3週間・6週間)を新たに実施します。

スピーキングのレベルアップを目指したプログラムを開発し、去年の夏休みと今年の春休みのモニタープログラムには約40名の学生に参加してもらいました。

わたくしも去年の夏に現地で授業を2週間受講してみました。朝の8時から夕方の5時まで1日8時間の授業、さらに宿題をそのあと3時間、、、。けっこうきつかったです。笑

ただこのおかげで多くの学生たちはスピーキングのレベルの向上がみられ、英語で話すことに抵抗がなくなったようです。

会話やディスカッションは相手がいないとできませんし、「慣れ」の問題でもありますが、このプログラムでは1日8時間の授業のうち約半分が1対1のレッスンですので、いやおうなしに話さざるをえなくなります。

フィリピンに行って英語を学ぶこと自体が海外留学でもありますが、そこでスピーキングのスキルを伸ばすことで、その先のサマーセッション留学や協定留学につなげやすくなると考えています。

 

高:確かにそれだけしっかりとやれば、短期でも英語は身につくと思います。

 

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高:では最後に、留学、国際化についてお聞きしたいと思います。

小室先生の考える留学、国際交流の意義はどのようなものでしょうか。

 

 

小:なんでしょう、一言でいうのは難しいですが、みなさんに留学してもらいたいと思う大きな理由は、これからの社会と関係しています。

みなさんの世代はどういう仕事をするにしても、日本人だけを相手に日本語だけで生活をすることはできなくなってきます。つまり、どうしても多文化、異文化と共生していかなければなりません。

それをうまく乗り越えるためには、自分の暮らしている社会とは違う社会についても学び、違う人々と若いうちに知り合うこと必要があります。それを経験できることが留学の大きな意義だと思います。

 

高:異文化と共生することを身をもって学ぶことができる、これは外国で生活しなければなかなかできない経験ですよね。

ただ、中には留学に対して否定的な学生もいると思います。そのような学生にはどのようなアプローチを行われているのでしょうか。

 

小:留学をしなくてもいいと考える学生は実際に多いですが、正直それはそれで仕方がないです。

留学では違う国に行って、違う社会に触れて、違う人々と触れ合うことができます。そこでは当然自分と相手は違うということがわかる。「違うものを知る」ことによって自分の考え方がまた新しくなることもあります。

この「違うものを知る」ことに価値を見出してほしい。

もしそこに価値を見出せないのなら、それ以上はどうしようもないと考えています。

実際にわたくしは、父母会でみなさんの親御さんにお話をするときにも、お子さんには留学を勧めないでくださいと言います。

なぜかというと、親に勧められて行く留学が成功するというのはあまりないからです。

「留学に行きたい」という気持ちが沸き上がってこないと、留学の経験も生きない。「留学に行きたい」、「ほかの国を見てみたい」、「何か違うところで違うことをしたい」、「違うものを知りたい」という感情は、自分の気持ちの中でしか湧きあがらない。

だから、親や人に言われたから行く、というものではないと考えます。そのため、みなさんの気持ちに積極的にアプローチするということはしません。

ただ、留学をした友だちを見て、「自分も留学に挑戦してみようかな」と思うことはある。だから留学を経験したみなさんは、周りの友だちに留学のきっかけを与えることができると思います。

わたくしは学生には、「留学に行くといいことがあるかもしれないよ」という言い方をしています。

 

高:確かにそうだと思います。人から言われて留学に行くのは違いますよね。

「いいこと」とは具体的にどのようなことでしょうか。

 

小:「いいこと」は、例えば料理がおいしかったとか、一見すると小さなことです。わたくしが初めてイギリスに行った時も、イギリスは食べ物がおいしくない、というイメージを持っていました。その先入観があったからかもしれませんが、イギリスで食べた屋台のフィッシュアンドチップスは、とてもおいしかった。いい意味で想像と現実のギャップがありました。

その反対に、ドイツの人は真面目でいつでも時間を守る、というイメージがありましたが、実際に住んでみるとバスの時刻表は間違っているし、本屋に本を注文しても一向に来ないし、お勘定もちょくちょく間違える。案外、正確でもきちきちしているわけでもないです。

わたくしたちが日本にいて持っている、ほかの国の知識やイメージは、不正確であったり、場合によっては偏見でしかなかったりします。実際に行って経験してみると、限られた経験のなかではあるものの、今まで自分が持っていたイメージや考えは違っている、不正確だったということがわかります。

そのようにして、気軽に行ってみて、現地の人と気軽に話してみる。何か特別なことをする必要はないです。留学では、普通のことをしているだけで様々な経験と気づきが得られます。それがすべて学生の皆さんにとって「いいこと」になると思います。

 

高;日本で得られる外国の知識はあくまで想像でしかなく、外国に行って生活してみないと本当の姿は見えてこないのですね。わたくし自身も留学いいって想像とのギャップに驚いたことがあります。

 

さて、いろいろとお話を伺ったのですが、そろそろお時間となってしまいました。

最後に留学を考える学生にコメントを頂けますか。

 

 

小:留学に行こうかどうか迷っている学生には、「失敗を恐れず挑戦してみたら」と伝えます。

初めて外国で生活するとなると不安があると思います。また、うまくいかないかもしれないと想像してしまうこともあるでしょう。

しかし、失敗してもかまわないので、崖から海に飛び込む気持ちで挑戦してほしい。大学が用意している留学プログラムでは、飛び込み方は教えます。我々は崖の下の状態もチェックしています。すり傷、切り傷くらいはするかもしれませんが、怪我をしても手当てできるように救急箱と救命具も準備してあります。ですからみなさんが何か失敗しても再起不能になるようなことはないです。

たとえ失敗したとしても、みなさんはその挑戦を糧に次の挑戦につなげていくことができます。ですので、みなさんは失敗を恐れずに挑戦してほしいと思います。

 

高:なるほど、大学の留学プログラムは失敗もカバーできるように設計されているのですね。失敗することは怖いですが、そういったサポート体制があれば恐れずに留学に挑戦できそうです。

いろいろなお話が聞けて楽しかったです!

本日は貴重なお話を頂きありがとうございました。

 

 

 

ここまで読んでいただいた皆様、誠にありがとうございました。

この記事を読んで、留学にチャレンジしたいと思ってもらえたら嬉しいです!

次回はどんな教員・職員さんに突撃するでしょうか?!乞うご期待! !

 

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インタビュアー:高松

編集:鎌倉、高取

 

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「For Global Meiji!教職員との本音トーク」 第2回 小室輝久先生 明治大学法学部専任准教授、国際教育センター長

「For Global Meiji! 教職員との本音トーク

 

お待たせしました!連載2回目の記事になります!

明治大学国際化の活動を根掘り葉掘り聞き出そう!」

をテーマに、個性豊かな明大教職員の方に本音トークを迫ります!

学生が知りたい裏話が聞けるかも!?

 

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第2回のゲストは、

国際教育センター長も務めていらっしゃいます、

法学部専任准教授、小室輝久先生に来ていただきました!

 

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高松:こんにちは。本日はよろしくお願いします。

 

小室先生:お願いします。

 

高松:今回は、「小室先生のお人柄」、「明治大学の国際化」、「留学」の3点についてお聞きしていきたいと思います。

 

一つ目に、「小室先生のお人柄」についてです。

小室先生は東北大学の法学部に進学されています。

もともと法律に興味がおありだったのでしょうか。

 

小室先生:法学部に進みましたが、弁護士になりたいとか企業に勤めようとか思っていたわけではなく、法解釈学という法律の使い方の勉強がしたかったのでもありませんでした。

それよりも、法がなぜ法であるのかとか、法が社会でどのように使われているのかについて学ぶ、基礎法学という分野に関心を持って大学に入りました。ですので、法学部に入って、法律の勉強もしたのですが、東北大学の法学部には法学の専攻と政治学の専攻の両方があったので、学部生の時は法律学も勉強しましたし、政治学も勉強しました。

もちろん法制史や法社会学などの基礎法学についても学びましましたし、それに加えて、経済学部や文学部の授業もとることができたので、そこで社会思想史や西洋史などを興味の向くままに履修していました。

 

高:なるほど、東北大学を選んだ理由はありますか?

 

小:わたくしは東京の生まれ育ちですが、「一人暮らしをしたい」というのが大きな理由の一つでした。そして、「自分のしたい勉強ができるのはどこか」ということを考えました。

当時は、オープンキャンパスなどはない時代でしたので、土曜日などに気になる大学に行って、教室に入って授業を聞いてみるということをしていました。4つくらいの大学を見て、「暮らすなら仙台がいいかな」というので選んだ気がします。笑

真面目な理由を言うと、基礎法学という分野では、東北大学東京大学が一番研究水準の高い大学と言われていたので、そのなかで、一人暮らしのできる東北大学を選びました。

 

高:そうだったんですね。

法学部の後は大学院に進学されていますが、勉強を続けたいということだったのでしょうか。

 

小:はい。法学部を卒業する時点で一番興味を持っていたのが、イギリスの法の歴史で、西洋法制史のゼミにも入っていたので、そのまま大学院で勉強しようと思い、進学しました。

 

高:そうなんですね。

 

小:わたくしが大学を卒業したのは、バブル経済がまだ続いていた頃で、就職活動ものんびりしていて、わたくしの同級生は4年生の7月末(企業が内定を出すのは8月1日)から始めている人もいました。

その時期になると、企業から学生に「うちの会社に来ないか」という電話がかかってきて、その中から内定をとる、という時代でした。

ですのでわたくしも、もし大学院に入れたら行こう、もし行けなくてもどこかの企業には就職できるだろうというお気楽な雰囲気のなかで、大学院に進学しました。笑

「就職しようか、それとも進学しようか」と、深刻に悩むような感じではなかったです。

 

高:企業の方から電話が来るなんて、就職活動真っ只中の僕からすると羨ましいです。。。笑

大学院の後、明治大学に来られるまではどのようなことをなさっていましたか?

 

小:大学院で2年間の修士課程を終えた後、当時はそのまま大学で助手になる、という仕組みがあり、助手のお給料をもらいながら勉強していました。

 

高:お給料がもらえるんですね。

 

小:そうですね。ただ、助手には任期があって、3年間。そのあと延長できても最大5年までしかできないんです。助手の間は、お給料をもらって論文さえ書いていればよかったので、とても恵まれていました。笑

そして、その間に就職先を探すというかたちでした。

 

高:恵まれているとはいえ、論文を書きながら就職活動は大変なように感じます。

 

小:当時は、大学院の指導教員が就職先を探してくださるのが一般的でした。わたくしの場合は、その指導教員が明治大学のポストを探してくださって。

仙台に10年間いたので、そろそろ東京に帰ろうかなということで、明治大学法学部に就職しました。

 

高:なるほど。それで明治大学へいらっしゃったんですね。

 

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(楽しくインタビューさせていただきました!)

 

高:少し話が戻りますが、学生時代は留学の経験はありますか?

 

小:わたくしは実は学生としての留学経験はないんです。

 

高:そうなんですか。

 

小:東北大学にも交換留学の仕組みがあり、カリフォルニアに協定校がありました。「一人暮らしをしてみたい」というのと同じくらいの気持ちで、「外国に留学できたらいいな」くらいに思っていました。

カリフォルニアの場所も「アメリカの西側だな」くらいしかイメージがなく、今のように簡単にネットで検索できるわけではないので、その大学のこともあまりよくわかりません。でも、「アメリカならまあいいか」と思って、交換留学の申し込みをしました。

成績と英語要件は満たしていたのですが、お金の面で問題がありました。

留学は当然お金がかかるですが、そのときはそのことがよく分かっていませんでした。大学在学中は授業料免除で、奨学金ももらっていました。学生時代にアルバイトをしたこともなく、両親からの仕送りと奨学金で必要なお金をもらっていたので、お金を稼ぐとか貯めるという観念がわたくしの中にはありませんでした。今考えると恐ろしいことですが。笑

結局、留学に行きたいとなった時に、お金の問題があり、家族からの理解が得られず、留学はできませんでした。

 

高:そうだったんですね。

当時は留学が今ほど一般的なものではなく、情報もそれほどなかったと思います。

 

小:今ではそれなりの準備をすれば、海外留学することはそれほど難しいことではありません。

しかし、成績、語学力、お金、家族の理解といった要件を揃える必要があるということを、まず知っておいてもらいたいのです。「留学に行きたい」という気持ちだけでは、留学はできません。

自分ができなかったということもあり、学生には、チャンスがあればつかんでもらいたいと思っています。

これが、わたくしが今の仕事をしているモチベーションの一つでもあります。

高:確かに。自分のこと以外の要件も大事ですよね。

その後、海外に行く機会はありましたか?

 

小:初めて外国に行ったのは、お給料をもらうようになった助手の時でした。26歳でした。初めてもらったボーナスを持って、イギリスに2週間、一人で行ったのが最初の海外旅行です。当時は飛行機の予約もホテルの予約も、今より面倒で大変だった気がします。

 

高:そうなんですね。

その後、明治大学に来られていますが、明治大学で国際交流や国際化の仕事をすることになったきっかけを教えてください。

 

小:明治大学に勤め始めたのは1998年です。

その頃はまだ「国際化」ということは言われていなくて、協定校も少なく、たぶん20校程度でした。今では300校以上あります。

明治大学が「国際化」というものを考えるようになったのはこの10年間くらいのことで、その頃から「学生を海外に送り出そう」、「留学生をたくさん受け入れよう」、「研究のグローバル化を活性化させよう」というようになりました。

わたくしが所属している法学部でも、オーストラリアの西シドニー大学に学部生を派遣するプログラム(SULSA) を2006年から3年間実施しました。これが法学部では初めての短期留学プログラムです。

わたくしがはじめて直接に関わったプログラムは、2010年に始まったケンブリッジ大学夏期法学研修です。現地で授業を担当する先生やカレッジの国際部局とやりとりしながら、数年間かけて今の研修内容をつくりました。今でも、事前学習(留学基礎講座C)の授業を担当しています。

また法学部では、 Law in Japanプログラムという、外国人留学生を短期で受け入れる日本法プログラムを2009年から始めていて、授業やプログラムの運営を担当しました。

こういった法学部の国際化プログラムの担当から始まって、2年前からは国際教育センターで全学の留学生の派遣や受け入れを担当しています。

 

高:今では当たり前のように感じるプログラムも、相当な歴史があるんですね。

 

 

 

 

自由で優しい雰囲気の小室先生です。

皆さんも小室先生のことをご存じいただけたのではないでしょうか。

 

次回は、明治大学の国際化・留学について伺います!お楽しみに!!

 

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インタビュアー:高松

編集:鎌倉、高取 

 

 

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【インタビュー企画 〜留学経験者は語る〜】 第3回 文学部 田口晃広さん

第3回 【インタビュー企画 〜留学経験者は語る〜】 

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文学部4年 田口晃広さん

 

 

 

 

高松:こんにちは。今日はよろしくお願いします。

 

田口:よろしくお願いします。

 

高:早速質問に移りたいと思います。田口さんはオーストラリアに1年間留学されていますが、留学に興味を持ったきっかけを教えてください。

 

田:オーストラリアの大学に興味を持ったのは、2年生の時の留学説明会です。留学生の受け入れに積極的で、世界的に見て教育レベルが高いと聞き、オーストラリアの協定大学を探したところ、シドニー近郊のマッコーリー大学を選びました。

 

高:そうだったんですね。

田口さんの利用された「大学間協定留学制度」とはどのような制度ですか?

 

田:「大学間協定留学制度」は、語学留学とは違い、現地の学生と同じ授業を受けて、単位を取得します。

 

高:現地の授業を一年受けるのはすごいですね。大変ではなかったですか?

 

田:参加条件のTOEFLのスコアを取得するために、しっかりと英語の勉強をしていたので、授業にはついていけていました。

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学生寮で開かれる学期の始まりの晩餐会

  

高:なるほど。現地ではどのような授業を受けていましたか?

 

田:現地ではまず、アカデミックライティングの基礎科目を履修しました。そこでは、学術的な論述方法や、より効果的なスピーチの手法を学びました。

オーストラリアの大学では、欧米圏と同様、ディスカッション形式で進む授業が多いため、そこで身につけた「伝えるスキル」が役立ちました。

 

高:実践的な内容を授業で学べるのはいいですね。印象に残っている授業は何かありますか?

 

田:「国際関係論」という、10人ほどの少人数クラスです。毎回一人の学生がプレゼンテーションを20分程度行い、その内容についてクラス全員でディスカッションをします。オーストラリア人やアメリカ人たちと英語で議論をするのはとても大変でした。

 

高:かなり大変そうですね。

 

田:日本の文化や商習慣について改めて学ぶいい機会になりました。できるだけ学術的な英語表現を使うように心がけたので大変でしたが。今振り返るといい経験だったと思います。

 

高:それはためになりそうですね。

田口さんは3年次に留学に行かれているので、帰国後の就職活動についてもお聞きしたいです。

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シドニーマラソンにも参加されたそうです!

  

田: 周りの友人たちは、既に自己分析や業界研究を終えていたので、最初はかなり焦りました。しかし、留学先で得た自分の強みを面接でアピールし、志望企業だった三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社から内定をいただきました。

 

高:おぉ、素晴らしいですね。勤務地はやはり海外になるのでしょうか?

 

田:勤務地は国内になる予定ですが、仕事で英語を使う機会は多そうです。実務経験を積んだらいずれは海外の大学院進学にも挑戦したいと考えています。留学経験のおかげで未来の可能性がますます広がっています。

 

高:すごい!その先まで考えているなんて!!

これからのご活躍も期待してますね!!!本日はありがとうございました。

 

田:ありがとうございました。

 

 

いかがでしたか?

約1年間オーストラリアの大学に留学された田口さんのお話でした。

次回もお楽しみに!

 

インタビュアー:高松

 

 

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1月12日と1月15日に、駿河台キャンパスでEnglish cafeを開催いたします。

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【インタビュー企画 ~留学経験者は語る~】 第2回 商学部 平手莉紗さん

第2回 【インタビュー企画 ~留学経験者は語る~】

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商学部3年  平手莉紗さん

 

 

 

 

古木:早速、お話を伺いたいと思います。

まずは、留学に行こうと思った動機は何ですか?

 

平手:留学自体は、入学する前から行こうと思っていました。

そして、せっかく行くならトップの大学に行きたいと考えて、UCBに決めました。

そして、留学時期なのですが、3年生の夏に留学してよかったです。

2年生までは日本でやりたいこともいろいろあり、3年になると秋からやることも増えてくるので。

 

古:なるほど。入学前からの留学の夢にぴったりの場所がUCBだったのですね。

UCBはアメリカでもトップクラスの大学ですが、留学前の事前準備はどうやってしたのですか。

 

平:UCBの情報は、大学のランキングや敷地面積など、簡単なものだけ調べました。

というのも、人前で発表する機会があったからなんですけどね。

英語の勉強は、主に動画を見て学習していました。

TEDや有名人のスピーチですね。

スティーブジョブズやマララさんのものは、分かりやすくてとても勉強になりました。

 

古:今はインターネットからいろいろ勉強できる時代ですもんね。

ありがとうございます。

 

次に、留学先エピソードを教えていただけますか。

 

平:一番印象深かったのは、自然の豊かさですね。休みの日にグランドキャニオンに行きましたが、そのときバスから観覧スポットまで顔をあげずに歩いたんです。顔を上げた瞬間の景色は圧巻で、とてもきれいでしたね。普段の生活でも、キャンパスにリスやシカ、タヌキが出ることもあって。芝生の上で本を読んだり、日本のキャンパスライフとは全然違う過ごし方でした。

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カリフォルニア大学バークレー校(UCB)

 

古:グランドキャニオン、うらやましいです(笑)。留学生活を謳歌されたのですね。

 

平:はい。でも、交通面では不便なところもありました。学校から駅まで20分かかりましたね。学内のシャトルバスを使えばタダなんですが、いったん外に出たらUBERカーシェアリングサービス)などで移動していました。

 

古:アメリカはどこも広いですもんね。

では、留学後の自分に変化はありましたか。

 

平:数字的なところを言うと、TOEICは100点以上UPしました。語学留学というわけではなかったのですが、大きな成果でした。気持ち的な面でいうと、やはり海外はいいな、と再確認しました。留学当初は日本に帰りたくなりましたが、慣れてからは本当に楽しくて、世界は広いと感じました。

 

古:100点以上!大きな成果ですね。留学ではいろいろなものを得ることができるのですね。

インタビューも最後となりますが、今の学生に伝えたいことがあればお願いします。

 

平:アドバイスとして、目標をもって留学に行くことをお勧めします。私は明確な目的があったわけではなく行ったのですが、あると留学先で頑張れるし、得られるものがさらに増えると感じました。

  

いかがでしたか?世界でもトップの大学に留学された平手さんのお話でした。

次回もお楽しみに!

 

インタビュアー:古木

 

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(続)「For Global Meiji! 教職員との本音トーク」 第1回 横川綾子 明治大学国際連携機構特任准教授

(続)「For Global Meiji! 教職員との本音トーク

前回は横川先生の「お人柄」に迫りました。

↓前回の記事はこちらへ↓

「For Global Meiji! 教職員との本音トーク」 第1回 横川綾子 明治大学国際連携機構特任准教授 - meiji-borderless-organization’s diary

 

 

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今回は明治大学グローバル化活動展望・横川先生が考える留学について迫っていきます。

 

鎌倉: さて、ここからは明治大学の国際化についてお聞きしていこうと思います。

明治大学のグローバル人材の育成は、他大学と比べてどのような特徴があるのでしょうか。また、現在進行中のプロジェクトについても教えて下さい。

 

 

横川先生:明治大学の一番の特徴はなんといっても「圧倒的な学生数」。

学生のレベルはどんどん上がっていますし、社会的評価も年々高くなっているのは間違いありません。他にも評価が高い大学はあるけれど、「」という強みは明治の特徴です。

例えば、「グローバル人材ピラミッド」のような階層を想定し、上位層・中位層・下位層があると仮定しましょう。構成は、上位層2割、中位層6割、下位層2割とします。

2割の上位層は、こちらが働きかけなくても海外留学に行く人たちです。

一方、6割の中位層と2割の下位層は、大学主導のサポートがないと、なかなか留学のことは考えません。言い換えると、サポートがあれば留学という選択肢が生まれるが、アプローチがないと行動しない学生が8割を占めるということです。

今、私たちが戦略的に働きかけているのは6割を占める中位層です。もし中位層の半分である3割が留学に目覚めてくれたら、上位層が5割に増える。こんな感じで、グローバル人材ピラミッドの構成を変えていきたいと思っています。中位層を少しでも多く上位層へ持ち上げたいのです。

私が以前勤めていた国立大学の学部生の数は2,000人です。変革を起こすにも、そもそも刺さる層の分母がとても小さいんですね。割合は同じでも、実数としてみるとやっぱり少ない。

でも、明治大学の学生をグローバル人材にしようと思ったら、学部だけで32,000人もいるわけだからすごい話ですよ。そこが他の大学にない明治の強み。数のパワー。もしこれが叶ったら、大変なことになりますよ。私はその「大変なこと」を起こしたい。上位層の2割は自由にやってもらえるよう、邪魔さえしなければ良いんです。それ以外の学生にはこちらから働きかける。

 

 

鎌:なるほど。明治大学数が圧倒的強みなんですね。では、一方で明治大学にまだ足りていない部分はどういったところでしょうか。

 

 

横:学生自身の英語力、特に発信力ですかね。

留学の成否に英語力はそれほど関係ないというのはある意味事実。

でも、日本でずっと英語を学んできて、Speakingが苦手な人、Writingの勉強をしたことがない人は、どうしても留学に一歩踏み出せないことが多い。もちろん英語の先生は、工夫を凝らした授業をしてくれています。でも「留学に必要な英語力は留学したい人が自力で頑張ってね」と、自助努力に任せてしまっている部分があるのが現状です。

大学側がいろいろな留学プログラムを用意しても、必要な英語力まで大学が用意してくれるわけではない。それが分かっている上位層の学生は自力でなんとかするけれど、そうではない学生には、実効性のある英語力養成講座やプログラムの整備といったサポートをしなければと思っています。

逆に、この「英語力」という課題が克服されれば、今持っている目標よりも、さらに上の目標を持つ学生が増えるだろうと期待しています。時間はかかりますが、粘り強く、長期スパンで取り組まなくてはいけませんね。

 

 

鎌:つまり、中位層や下位層の底上げを行うことが、今の明治大学国際化の方針ということですね。

 

 

横:はい。でもそれだけではありません。明治大学では、上位層を超上位層へ持っていくための取り組みも行っています。

例えば、留学の助成金最大300万円を助成する「明治大学学生海外トップユニバーシティ留学奨励助成金」が新設されました

www.meiji.ac.jp

海外の一流大学と言われるところで実際に学んで成果を出してくる学生さんを、資金面からサポートする仕組みです。せっかく上位層が増えても、ピラミッドの頭が重くなっていくだけでは、底上げの意味がありません。将来的には、ピラミッドを3層から4層にしたいのです。「上位層は超上位層へどうぞ」と誘導する、上位層の学生もそれを当たり前と思う、そういった野望を持っています。

強みの話に戻ると、助成金明治大学の大きな強みと言えますね。他の大学と比べても、かなり手厚いですよ。留学したいという明確な目的がある学生は、ぜひ金銭的なサポートをフル活用してほしい。お金がないから留学を諦めるというのは、明治大学にいるならとてももったいないこと。使えるものはすべて使ってほしいです。

 

 

鎌:どんなに優秀で意欲があっても、金銭的な理由で留学に行けない、というのはもったいないですからね。さすが明治大学ですね、そのあたりは。

 

 

それではここから「留学」についてお聞きいたします。横川先生にとって「留学」の定義や意義とはなんでしょうか。

 

 

 

横:学生の頃は視野が狭く、「学問を極めるためにするのが留学だ。語学を習得するだけなら留学ではない」と思っていました。確かに少し前までは、留学と言うと、単位や学位を取得する長期留学を指すことが当たり前で、語学研修などとは区別していました。でも今は、そんな定義付けにたいした意味はないと思っています。

留学とは、短期も長期も関係なく「留まって学ぶ」ということです。これは単なる行為を示す言葉。何を得るかはその人次第。長期間海外に滞在し、外国語で学問を修めることには大変な苦労が伴うだろうと思います。でも、単位や学位を得る以外にも、海外で暮らす、現地に馴染む、人々と交流する、そのすべてが「留学」でいいのではないでしょうか。

海外では「日本だったらこうなのにどうして?」は通用しません。当たり前がいかに当たり前ではないかを知ることが留学の醍醐味であり、それは日本を出て初めてわかることです。日本にいたら、自分が当たり前だと思っている事自体に気付かないでしょう。それまで当たり前と思ってきたことが全然当たり前じゃない。そう気付いて初めて、「じゃあどうする?」と試行錯誤するんです。それが留学のすべてだと思います。

違いを受け入れることって、国内にいても必要な力です。私の場合、国立大学から私立大学に来たけれど、あらゆることが違いますね。それぞれの場所にそれぞれの当たり前がある。英語に関わってきたおかげで、「当たり前の上書き」が早いかもしれない。違う環境・違う文化に入っても、ここではこうなんだなと、受け入れられることが多いです。

でも中には、違いを柔軟に受け入れられない人もいる。そんな人は、留学を通して当たり前の違いを日々突きつけられると、違いの受け入れが早くなる。違いに遭遇したら、「ほほう。そういう仕様か」と面白がりつつ頭を切り替えられると、自分が楽になります。

国が違えば、人々の行動パターンも違って当たり前。グローバル社会を渡り歩く人は、切り替えが早いです。この能力は、日本を出ることで嫌でも身に付きます。「切り替え力」が備わっていると、大人になってから生きるのが楽ですよ。例えば結婚生活。当たり前の擦り合わせと切り替えがとても大事(笑)。

違いに対する受容性がグローバル化の指標かもしれません。「自分の当たり前は当たり前じゃないんだ」という新鮮な気付きを得ることが、留学の意義だと思います。

 

 

 

鎌:ありがとうございます。様々な経験をされているからこそ説得力のあるお言葉ですね。私自身も2度の留学を経験していますが、横川先生が仰る「自分にとって当たり前じゃないことを受け入れる能力」はだいぶ身につきました。語学だけじゃありませんね、留学の意義は。

それでは最後になりますが、留学に行く前、行った後の学生に対してそれぞれメッセージをいただけますか。

 

 

 

横:これから留学に行く、あるいは留学に否定的な学生へ・・・

まぁ、とりあえず行っていろいろ体験してくればいいんじゃない(笑)?

今の時代、インターネットや動画でバーチャルな知識は得られる。でも、オンラインでは得られない実体験が留学ではたくさん出来る。「体験してくれば?」とカジュアルに言ったのは、今の時代、留学はそんなに特別な事ではないから、構えず、とりあえず行ってみましょう。

 

 

留学から帰ってきた学生へ・・・

世界はかつてないほど緊密につながっています。必要な情報も不要な情報も、毎日洪水のように入ってくる。そんな状況の中、自分が短期間でも「外から自国を見た経験」の価値を忘れないでいてほしい。例えば1ヶ月の留学から帰って来てそこから間が空いてしまうと、どうしてもその体験から得た何か、体験から沸き起こった感情や不条理感、なんで世界ってこうなんだろうか、なんで日本ってこうなんだろうかという意識が薄れてきてしまいます。

実際に海外に行く・行かないに関わらず、視野をなるべく広く持ち続けるように。情報のソースを日本語だけでなく英語にも求め、様々な角度から知見を得られるようにしてほしい。英語をもう少しできるようになりたいと思えば、その時に勉強すれば良いのです。

 

最後にもう一つ。日本はどうしても同調圧力があるけれど、適度にスルーすること。留学を通して、人生観が劇的に変わる体験をして帰って来たのに、新しい自分を押し込めるようなことはしないでほしい。こうあるべきだ・こうしたいんだと思ったら、他人の目は気にしないで行動しよう。自分を受け入れてくれる、自分を育んでいけるような環境を自らつくっていこう。

留学を機に新しくなった自分を大切にしてください。

 

 

『New Me!で生きていこう!』

 

 

鎌:横川先生、熱いメッセージをありがとうございました。

こういった企画を行って、さらに横川先生を好きになりました。

ここまで読んでいただいた皆様、そしてインタビュー記事作成にあたり、様々な助言をしていただいた横川先生、誠にありがとうございました。

次回はあの教員・職員さんに突撃いたします!乞うご期待! 

 

 

 

 

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インタビュアー:鎌倉

編集:中山・間・高取

 

What is MuBO?

明治大学生に留学の可能性を感じてもらうという理念のもとイングリッシュカフェの開催や留学フェスタへの協力といった留学支援の活動を行っている団体です。

 

1月には駿河台キャンパスでEnglish cafeを開催いたします。

多くの明治学生の参加をお待ちしております。

goo.gl

 

「For Global Meiji! 教職員との本音トーク」 第1回 横川綾子 明治大学国際連携機構特任准教授

「For Global Meiji! 教職員との本音トーク

本日から始まるこの連載。

明治大学国際化の活動を根掘り葉掘り聞き出そう!」

をテーマに、個性豊かな明大教職員の方に本音トークを迫ります!

学生が知りたい裏話が聞けるかも!?

            

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第1回のゲストは、

「横川先生」こと横川綾子先生に来ていただきました!

 

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鎌倉:こんにちは。じゃんじゃん行くので、本日はよろしくお願いします。

 

横川先生:学生発信でこういった企画が立ち上がるのは頼もしいですね。さすが明治の学生さんです。よろしくお願いします。

 

鎌:今回のインタビュー内容は「横川先生のお人柄に迫る」・「明治大学の国際化」・「留学とは」の三本柱で進めさせていただきます。

まずは、「横川先生のお人柄」ですね。

横川先生は上智大学法学部国際法学科を卒業されていますが、どういった経緯で進学したのでしょうか。

 

横:当時から「国際化」というのは世間で言われていました。中学・高校を超ドメスティックな環境で過ごしたので、大学はちょっと違ったインターナショナルなところに行きたいと思い、上智大学を志望しました。女子校に通っていたんですけど、その学校の子たちはよく勉強するし、当然のように名のある大学に進学するんですね。

 

鎌:いわゆる日本のThe top of 大学へ進学する生徒が多かったんですね。

 

横:今もそうですけど、私は反体制派みたいなところがありまして。大方の人が選ぶことは死んでも選びたくないという、あまのじゃく体質なのです。それで当時、周りの子が志望しない大学に行きたいと思っていました。また、大学で勉強するなら中高でやってきた数学・英語・歴史などではなく、新しいことを学びたいと思ったんです。

そんな時に読んだのが、いまの皇太子妃雅子さま、旧姓小和田雅子さんが外交官だったときの手記が載っている雑誌。今でいう「グローバル人材になるには」みたいな内容でした。それを読んだとき、「国際派」という言葉にリアルなあこがれを持ちましたね。小和田さんは女性外交官として華々しく活躍されており、それが高3で進路を決めかねていた自分に刺さったわけです。外交官になるには国家試験があるけど、法学部に行けば外交官のような公務員の道も目指せるし、法律だけでなく国際政治も学べる。自分のやりたいことがオールインワンで叶えられそうだな、と思ったのが、上智大学法学部国際関係法学科だったんですね。

 

鎌:ありがとうございます。今でも「反体制派」とは言いませんが、「同調して行動」というタイプの教員ではないですよね。とても好きです、僕は。(笑)

晴れて上智大学に合格した後ですが、大学に入ったあとの4年間はどう過ごされましたか。

 

横:大学生活は地味でしたよ。皆さんがこうやってMuBOを作って活躍されているのが羨ましいくらいでして。(笑)

 

鎌:そうなんですか??行動的な姿を想像していましたが。

 

横:上智大学は当時も華やかで、帰国子女が多かったです。私のクラスにも帰国子女がいて、当然のように英語ができるんですね。私は「受験英語叩き上げ組」ですから彼らには一生敵わない、そういうコンプレックスを抱えていました。学業はそこそこ頑張ったけれど、これと言ったものは達成せずに卒業したかな。

 

鎌:そうだったんですね。意外な一面を発見しました。

 

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明治大学オープンキャパスでの講演

 

鎌:以前、留学経験はないとお聞きしましたが、大学4年間で海外への渡航経験などはありましたか?

 

横:全く海外経験がなかったわけではないんです。大学1年生の時にアメリカに3週間ホームステイに行きました。2年生の時には、自分でエアメールを送って手続きし、大学の寮に入りながら付属の語学学校に1ヶ月通い、後の1カ月はアメリカ国内を一人で周遊したりしました。

海外には行っていたものの、単位を伴うような長期留学をしなかったのは私なりの理由がありました。英語だけやりたいなら国内で学べるし、交換留学プログラムにも惹かれるものはあまりなく、留学する必然性がないと思っていたのです。

今だと留学といっても、短期・長期・インターンシップ・海外ボランティアなど様々です。でも私が大学生だった時代は、留学と言えば「休学して自分で業者を手配して行く」、あるいは「大学の交換留学」という選択肢しかなかった。留学に対するハードルは、今よりも明らかに高かったですね。

そう考えたとき、国内で勉強できない学問を修めるために海外に行くのはありだと思いました。でも「英語を上達させたい」とか「海外で生活してみたい」といった、ふわっとした目的だったら時間とお金を費やす必要はないと考えていました。でも後々、これは間違いだったと気付いたんですけどね。今思うと、長期留学は、学生時代にやっておけばよかったと思うことの1つかな。

 

鎌:なるほど。やはり今とは留学の捉え方や留学プログラムは相当違ったようですね。当時は学問を修めるために留学するなら意味はあるが、英語のためだけなら必要ないと思われていましたが、なぜそれが失敗だったと思うのでしょうか。

 

横:英語を教える仕事を始めてから、英語圏の生活や文化に対する理解、ネイティブスピーカーとの触れ合いなしに、言語としての英語だけを抜き出して学ぶのには限界があると感じました。そりゃ本で勉強すれば英語の知識は得られるけど、そういうスキルはしょせん机上のもの。英語を使う人の状況や気持ちといったリアリティが伴っていない。感情が動く体験と習得したスキルとが結びついていない。バーチャルな想像ではなく、リアルな体験に結びついた学習が本来あるべき姿だと思います。

でも当時は、英語だけなら国内で学べるじゃない、と安易に思ってしまった。英語力だけ考えても、留学に行かないよりは行った方が絶対に得るものは大きいし、今の学生さんにはぜひその経験をしてほしいと思っています。

 

鎌:現在はオンラインレッスンや英会話カフェなどがありますが、やはり現地での「リアルな英語に触れる」というのは、語学以外にも多くの収穫はありますよね。当時の状況でも女子学生が海外渡航を積極的にしているというのはなかなか行動力がありますね。さすが横川大先生です。

続いてですが、横川先生の就職活動についてお聞きしたいと思います。どのような経緯で、グローバル人材育成という分野で教員を務めていらっしゃるのですか。

 

横:この仕事に就いているのが不思議なくらい、学生の時は教員という職業に全く興味がなかった。むしろ先生は嫌いな人種でしたので(笑)、大学教員になるなんてことは少しも考えていなくて。人と関わることは好きだったので、接客を伴う仕事はしていました。英語とはほぼ無縁の仕事でしたけど。英語はずっと好きで、勉強もなんとなく続けていましたが、それで食べていきたいなんて本当に思っていなかった。20代最後の年までは。

29歳で目覚めました。身体を使う仕事をしていたけど、長くは続けられないと思い知りました。女性だと、結婚や出産、育児や夫の転勤だとかでライフスタイルが変わりやすい。でも、手に職があれば何とかやっていけるんじゃないかなと。

20代の頃、ワインのソムリエになろうと思ったこともあるんですよ(笑)。実は父親が生前にお店を経営していたこともあり、自分にもそういう才能があるかもしれない、将来私もお店を持ちたいと考えていました。そういう模索の時期は、興味のおもむくままどんどん突き進んでいた。

でもそうすると、知らない間に無理をする。いきなり倒れたりしたら周りに迷惑がかかるし、積み上げてきた信頼やキャリアを失ってしまうかもしれない。「無理をしてまで働かない」というのはそのときに得た教訓です。それで、いわゆるホワイトカラーの仕事に就こうと思いました。親には大学まで出してもらいましたし、長く続けられるキャリアを築こうと。

じゃあ「知的労働」ってなんだろう。資格があれば食べていけると思って始めた司法書士の勉強も中途半端にしちゃったし、今からでも出来る仕事ってなんだろうって。そこで、英語だったら嫌いじゃないし、頑張れば様になるかなぁと考えたわけです。英語の先生は安定した需要もありますしね。ライフスタイルが変わっても、英語を教える仕事なら一生働き続けられるかもと。

ということに気づいたのが29歳のとき。遅いでしょ(笑)。だから学生さんには28~9歳までふらふらしているのは普通だよ、といつも言っています。最初は自分のパッションや興味で突き進んじゃうこともあるけど、それに心や体がついて行かないときもある。憧れを持って就いた仕事も、実際は想像と違って日々辛いなんてこともある。そういう方向変換って20代まではどんどんやって良いと私は思っています。

 

鎌:今の横川先生があるのもいろんなことを経験してきてのことなのですね。自分も30歳までやりたいことをやって突き進んでいこうと思います(笑)。こういった経験の中で、今の「英語教師」という天職に就かれたのですね。

 

 

 

非常にパワフルでいろいろな経験をされている横川先生です。

横川先生のことをご存じなかった人もその素顔に迫れたのではないでしょうか。

 

次回は、横川先生に明治大学の国際化・留学について伺います、お楽しみに!

 

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インタビュアー:鎌倉

編集:中山・間・高取

 

 

What is MuBO?

明治大学生に留学の可能性を感じてもらうという理念のもとEnglish cafeの開催や留学フェスタへの協力といった留学支援の活動を行っている団体です。